漏電遮断器と電源用SPD
■漏電遮断器と電源用SPDとの関係性
・漏電遮断器の一次側に電源用SPDを設置する場合
・漏電遮断器の二次側に電源用SPDを設置する場合
漏電遮断器と過電流遮断器の違い
漏電遮断器( ELCB、ELB) |
漏電による漏れ電流を検知して電源回路を遮断する装置です。 一般家庭などに設置されています。 |
過電流遮断器( MCB、MCCB) |
過電流を検知して電源回路を遮断する装置です。 工場などの比較的大きな負荷を扱う箇所で使用されています。 |
漏電遮断器と電源用SPDとの関係性
電源用SPDは、漏電遮断器の一次側に設置する場合と二次側に設置する場合とで、それぞれ必要な構成が異なります。
JIS規格(JIS C 5381-12)では、次のように定められています。
漏電遮断器の一次側に電源用SPDを設置する場合
漏電遮断器の一次側に電源用SPDを設置する場合、各SPDに対して直列にGapを接続する必要があります。
漏電遮断器の一次側では一時的過電圧(TOV)によってSPDが燃える可能性があるため、Gapを接続することでTOVによるSPD動作を防止する必要があります。
この構成は、SPDが動作しても停電することが無く、漏電遮断器が損傷することもありませんが、SPDの故障時に確実にSPDを分離可能なSPD分離器の選定が必要になります。
漏電遮断器の二次側に電源用SPDを設置する場合
漏電遮断器の二次側に電源用SPDを設置する場合、各線路に対して並列に電源用SPDを接続します。
漏電遮断器の二次側では漏電遮断器がTOVによるSPD動作を防止するためGapの接続は必要ありません。
この構成は、SPDの安全は保たれますが、SPDの動作都度に漏電遮断器が動作するために停電になります。また、漏電遮断器にサージが通電されることから、漏電遮断器が損傷する可能性があります。
そのため、この構成を使用する際は、常時人がいて漏電遮断器の再投入が可能な場所である必要があります。
当社の電源用SPD
漏電遮断器の一次側用 | 漏電遮断器の二次側用 |
上記の製品はGapを内蔵した電源用SPDです。 漏電遮断器の一次側に設置する際、追加でGapを接続する必要がありません。 |
上記の製品はGapを内蔵していない製品です。 漏電遮断器の二次側に設置する際にご利用頂けます。 |
TOVとSPDについて
TOV(Temporary Over Voltage)とは、電力系統の故障によって生じる一時的過電圧です。
この過電圧は、交流なので雷サージより長い時間継続します。
SPDは長時間継続する過電圧に耐えられる設計にはなっていないため、TOVにSPDがさらされると、SPDが短絡故障して燃える可能性があります。
内線規程などでは、低圧又は高圧電源システムの故障時に以下の時間で遮断することが規定されています。
電源システム | TOV | 遮断時間(TOVの継続時間) |
低圧電源システム故障時 | 330V | 無制限 |
高圧電源システム故障時 |
600V+公称電圧 | 1秒間 |
300V+公称電圧 | 2秒間 | |
150V+公称電圧 | 無制限 |