接地抵抗の測定手法
接地抵抗の測定手法
接地抵抗の測定には、一般的に「直読式接地抵抗計による測定」と「電圧降下法による測定」が用いられます。
測定方法 | 概要 | 測定対象 |
直読式接地抵抗計による測定 | 接地抵抗計を使用した、一般的で主流な測定方法 |
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電圧降下法による測定 | 直読式接地抵抗計による測定では精度が不安定となる、大規模接地極の測定に用いる測定方法 | 構造体利用接地極や、発電所・変電所等のメッシュ接地極 |
電圧降下法による測定
発電所の網状接地極(メッシュ接地)や構造体接地のような大規模接地極の接地抵抗測定にあたり、一般的な直読式接地抵抗計では測定線が外部からの電磁誘導を受けて測定誤差が発生する可能性があります。このような大規模接地極測定に用いる方法が電圧降下法です。
電圧降下法の測定回路を図1に示します。接地極から300m~600m離れた位置に測定補助極P極を設け、更に接地極一辺の4~5倍離れた位置に測定補助極C極を設けます。電圧回路に発生する誘起電圧を低減するため、電流回路は電圧回路と90度以上の交差角をとります(図2)。
測定では、電源電圧を絶縁変圧器により昇圧して接地極~測定補助極C極間に電流を流します。このとき測定電流は20A以上流すことを推奨しています(発変電規程より)。またC極の接地抵抗が高いと電流が流れないため、C極は10Ω以下にする必要があります。
図1 電圧降下法の測定回路
図2 電圧回路と電流回路の交差角
電圧降下法に関する規則、規程は以下の通りです。
■経済産業省
- 電気事業法施行規則第73条の4に規定する使用前自主検査及び規則第76条に規定する使用前自己確認の方法
発電所、変電所等の使用前自主検査における、接地抵抗の確認方法として記載されています。
接地線を網状に埋設し、各交点で連接する「網状(メッシュ)接地」は、電圧降下法による測定で検査を行います。
■国土交通省
- 建築設備設計基準
- 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)
構造体利用とした接地極、環状接地極、メッシュ接地極又は基礎接地極の場合は、電圧降下法による接地抵抗測定を行います。
■民間規程
- 発変電規程 JEAC 5001-2022(一般社団法人日本電気協会)
電圧降下法の測定方法が記載されています。