接地の規程、基準類
- 電気設備の技術基準の解釈
・第17条 接地工事の種類及び施設方法(省令第11条)
・第18条 工作物の金属体を利用した接地工事(省令第11条)
・第24条 高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設(省令第12条第1項)
・第37条 避雷器等の施設(省令第49条)
電気設備の技術基準の解釈
※本項目の内容は、経済産業省による電気設備技術基準の解釈(20230310保局第2号 令和5年3月20日付け)のうち、接地工事に関する条文を抜粋または編集・加工して作成したものです。
電気設備に関する技術基準を定める省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容をできるだけ具体的に示したものである。
省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容はこの解釈に限定されるものではなく、省令に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、省令に適合するものと判断する。
この解釈において、性能を規定しているものと規格を規定しているものとを併記して記載しているものは、いずれかの要件を満たすことにより、省令を満足する。
第17条 接地工事の種類及び施設方法(省令第11条)
1.接地抵抗値と接地線の太さ
接地工事の種類 | 接地抵抗値 |
接地線太さ |
A種接地工事 | 10Ω以下 | 直径2.6mm以上 |
B種接地工事 |
(150※1/Ig)Ω以下 Igは変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流(単位:A) |
直径2.6mm以上 |
C種接地工事 | 10Ω※2以下 | 直径1.6mm以上 |
D種接地工事 | 100Ω※2以下 | 直径1.6mm以上 |
※1 1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設置する場合は300、1秒以内の場合は600。
※2 低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω。
<関連リンク>
・接地の種別 | A種 B種 C種 D種
・接地抵抗と大地抵抗率の関係
2.施設方法
接地工事の種類 | 施設方法(人が触れる恐れがある場所に施設する場合) |
A種接地工事 |
|
B種接地工事 | |
C種接地工事 | 規定なし |
D種接地工事 |
第18条 工作物の金属体を利用した接地工事(省令第11条)
構造 | 条件 | 共用接地極として利用できる接地工事の種類 |
鉄骨造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
(A種接地工事、B種接地工事の接地極として使用する場合は、更に次の号)
|
A種接地工事 B種接地工事 C種接地工事 D種接地工事 |
建物の鉄骨その他の金属体 | 2Ω以下 | 非接地式高圧電路に関係するA種接地工事、B種接地工事 |
第24条 高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設(省令第12条第1項)
1.B種接地工事の施設箇所と接地抵抗値
接地工事の種類 | 施設箇所 | 接地抵抗値 |
B種接地工事 | 低圧側の中性点 | 第17条の計算結果に関わらず、5Ω未満であることを要しない。 |
低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子 | ||
低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板 |
2.接地工事の施設方法
施設箇所 | 施設方法 |
低圧側の中性点 |
(1)接地工事は変圧器の施設箇所ごとに施すこと (2)土地の状況により、その直下で規定の接地抵抗値が得られない場合は、変圧器から200m以内の箇所まで接地線を施設して接地工事を施すこと(図a) ①引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用した架空接地線を低圧架空電線の規定に準じて施設する
②地中接地線を地中電線の規定に準じて施設する (3)土地の状況により多数の変圧器の施設箇所にそれぞれの接地工事を施すことが経済的に困難な場合は、共同地線を設けて接地工事を2以上の変圧器の施設箇所で共用しても良いこととし、施設方法は次によること ①架空共同地線は、引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用し、低圧架空電線の規定に準じて施設する
②地中共同地線は、地中電線の規定に準じて施設する ③接地工事は、各変圧器を中心とする200m地域内の両側に施すこと。ただし、変圧器直下に接地工事を施した場合はこの限りでない(図b) ④共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、直径1km以内の地域ごとに規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること(図c) ⑤各接地箇所の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、300Ω以下であること (4)変圧器が中性点接地式高圧電線路と低圧電路とを結合するものである場合において、土地の状況により、(1)から(3)までの規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと ①共同地線は(3)の①又は②によること
②接地工事は(3)の③によること ③同一支持物に高圧架空電線と低圧架空電線とが施設されている部分においては、接地箇所相互間の距離は、電線路沿いに300m以内であること ④共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること ⑤各接地箇所の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、次の式により計算した値(300Ωを超える場合は、300Ω)以下であること R =150n/Ig |
低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子 |
第37条 避雷器等の施設(省令第49条)
3 高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる。
使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈(経済産業省)
※本項目の内容は、経済産業省による使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈(一部改正 20210326保局第1号 令和3年3月31日)のうち、接地抵抗測定に関する条文を抜粋または編集・加工して作成したものです。
電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号)第73条の4に規定する使用前自主検査及び規則第76条に規定する使用前自己確認の方法の解釈を記載している。 なお、使用前自主検査及び使用前自己確認の方法は、この解釈に限定されるものではなく、十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、規則に適合すると判断することとされている。
接地抵抗測定の検査方法
対象 | 接地方式 | 測定方法 | 判定 |
水力発電所 |
機器ごとに接地する「単独接地」 |
直読式接地抵抗計による測定 | 接地抵抗値が電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下であること |
いくつかの接地箇所を連絡して接地する「連接接地」 | 直読式接地抵抗計による測定 | ||
接地線を網状に埋設し、各交点で連接する「網状(メッシュ)接地」 | 電圧降下法による測定 |
国土交通省基準類
建築設備設計基準 | 官庁施設に必要な品質・性能を確保するため、建築設備の実施設計に関する標準的な手法を定めたものである。 |
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編) | 建築物の品質確保、施工の合理化等のために、官庁施設等の新築工事に使用される材料・機材・工法・試験等について標準的な仕様を示したものである。 |
民間規格
内線規程(一般財団法人 日本電気協会) | 電気需要場所における電気設備の保安を確保することを目的として作成されたもので、設計、施工についての技術的な事項をすべて包含し記述した民間規格である。 |
高圧受電設備規程(一般財団法人 日本電気協会) |
高圧受電設備の設計、施工、維持及び管理に関する技術的事項を具体的かつ詳細に規定した民間規格である。 ※共用・連接接地に関する記述あり。 |
発変電規程(一般財団法人 日本電気協会) |
電気工作物の自主的な保安体制を確立するために定められた民間規格であり、法律に基づく「電気設備技術基準」をはじめ、発変電所並びに自家用受電設備の設計上考慮すべき事項、建設及び保守上必要な事項を定めたものである。 ※広い面積にわたる網状(メッシュ)接地の接地抵抗測定方法として用いられる”電圧降下法による測定”を記載している。 |