接地抵抗と大地抵抗率の関係
接地工事は最終的に目標とする接地抵抗(例えば10Ω以下)を得ることですが、この接地抵抗には大地抵抗率が関係します。
接地抵抗
接地抵抗の要素には、次の3つがあります。
- 接地線の抵抗および接地極自身の抵抗
- 接地極と土壌の接触抵抗
- 接地極周囲の大地抵抗率
この中で、最も接地抵抗に影響を与えるのが、3つめの「接地極周囲の大地抵抗率」です。
接地抵抗と大地抵抗率は次の式となり、比例関係になることが知られています。
$$R = \rho \times f$$
\(R\): 接地抵抗[Ω]、\(\rho\)(ロー): 大地抵抗率(土壌の持つ抵抗率)[Ω·m]、\(f\): 接地極の形状と寸法により定まる関数
大地抵抗率
抵抗は電気の流れにくさで、抵抗率はそれを単位あたりで表したものです。大地(土壌)の抵抗率は \(\rho\) [Ω·m] で表します。大地抵抗率 \(\rho\) は、土質や土壌に含まれる水分量、土壌の温度によって変化します。一般的に、土壌に含まれる水分量が多いほど抵抗率は低くなり、土壌温度は高いほうが抵抗率が低くなります。土質との関係は、湿地は抵抗率が低く、山地の岩盤では高くなります。これは、乾燥した土壌は電気的に絶縁物であり、土壌中の水分が導電性を高める役割をすることが関係します。
図1は日本の大地抵抗率分布を表したものです。
図1 日本の大地抵抗率地図
日本における大地抵抗率は地域によって大きく異なりますが、とくに中国地方は大地抵抗率が高い傾向にあります。土壌の抵抗率が高い場所では、低い接地抵抗が得にくいため、接地工事の規模が大きくなります。
\(\rho-a\) 曲線
\(\rho-a\) 曲線とは、ウェンナーの四電極法と呼ばれる測定手法で大地抵抗率を測定した結果をグラフ化したものです。
\(\rho\):大地抵抗率[Ω·m]、\(a\):地表面からの深さ[m]
この曲線によって、その場所の地下に、どの程度の大地抵抗率を持った地層がどの程度の厚みで存在するのか、確認することができます。
【解説】上記の\(\rho-a\) 曲線では、地表面の大地抵抗率が低いため、接地棒打設や接地抵抗低減材を用いた帯状施工が有効です。