雷から身を守るには

日本では毎年数人が雷によって命をおとしています。 交通事故と比較すればその数はごくわずかですが、雷に打たれる悲劇はできるだけ避けたいものです。では、雷が近づいたとき、私たちはどのようにして安全を確保すればよいのでしょうか。下記に「雷から自分の身を守るための知識」をご紹介します。ぜひ明日からお役立てください。

危険な場所

家の軒先での雨宿りは危険です

一般的には、軒先で雨宿りをしがちですが、実はこれは危険な行為です。雷(雷電流)は物体の中より外側の方に多く流れる性質(表皮効果)があります。そのため、もし雨宿り先の家に落雷があった場合、軒先には大きな電流が流れます。雨宿りは軒先ではなく、建物の中がよいでしょう。

大きな木の下での雨宿りは非常に危険です

周囲より背の高い樹木は雷が落ちやすい上、雷電流は木の幹の中心ではなく外側を流れます(雷電流のような高周波電流は表皮効果によって表面を流れます)。そのため、木に落雷があると、木の幹近くにいる人にも雷電流が流れてしまいます。樹木からの落雷被害を避けるには、枝から2m以上離れましょう。木よりも人体の方が電気抵抗が低い(電流が流れやすい)ためです。

2m以上離れている場合でも感電の恐れがあります

大きな木や高構造物から2m以上離れている場合でも安心はできません。雷電流が大地に流れると周囲の大地電位が上昇し、地面に接する両足間に電位差(歩幅電圧)が発生します。この電位差によって感電する恐れがあります。そのため、雷が近づいてきた場合には、基本的に頑丈な建物の中、あるいは車の中などの屋内に避難することをお勧めします。

どうしても屋内に避難できない場合には、両足を閉じて歩幅を小さくすることで電位差の発生を最小限に抑えることができます。また、周囲の高構造物から2m以上離れて、低くしゃがむ姿勢をとることで落雷や側撃のリスクも抑えることができます。

屋内でも、柱や家電の近くは危険です

雷(雷電流)は、落雷した建物の柱を伝って大地に流れます。そのため、たとえ屋内であっても柱の近くは危険です。また、雷電流はテレビや電話などの配線ケーブルに流れてくることもあるため、家電製品からも離れ、触らないようにしましょう。一般的には家電製品の表面は絶縁(電気が流れにくい)材料でおおわれていますが、電源や通信などの金属線路を伝播する雷サージは電圧はこれらの絶縁材料の絶縁を破壊することがあります。

安全な場所

クルマの中

金属製車両である自動車の車内は安全です。ただし、閃光と大音響によって運転を誤る可能性があるため、運転中の場合は必ず停車し、雷が通りすぎるのを待つことが重要です。

電車の中

金属製車両である電車内も安全です。

雷にまつわる、それマル(○)、これバツ(×)

  1. 金属を身につけていると落雷しやすい(×)
  2. 長靴やゴム合羽のような絶縁的で身体をおおっていると落雷しにくい(×)
  3. 近くに落雷があったとき、地面にひれ伏しているのは危険(○)
  4. 直接落雷を受けた人は必ず死亡する(×)
  5. 高い物の先端を45度に見上げる範囲は安全である(やや○)
  6. 高い建物に落雷するときは、建物の天辺に落ちる(×)
  7. 高い樹木の下は安全(×)

解説

  1. 金属が身体から上に出っ張っていない限り、無関係であることが実験的に認められています。
  2. 全く関係がないことが実験的に証明されています。
  3. 地面にひれ伏していると落雷は受け難くなるが、落雷位置によっては、手から足に雷電流が流れ、危険な場合もあります。
  4. 直接落雷をうけても 統計的に20%の人が命をとり止めています。
  5. 一般には安全といわれています。ただし、高さが、30m以上あるような場合は、そうとはいえなくなります。
  6. 高い構造物等の先端に落雷しやすいが、建物の側面に落雷することもあります。
  7. 木に近すぎるとかえって危険です。幹、枝や葉からも最低2m以上離れましょう。


関連リンク

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