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電圧降下法(大規模接地極の接地抵抗測定)ページ印刷

電圧降下法は、発電所の網状接地極(メッシュ接地)や構造体接地のような大規模接地極の接地抵抗測定に用いる測定方法です。

一般的な直読式接地抵抗計は測定電流が数mAと小さいため、大規模な接地体の測定を行うと外部からの電磁誘導を受けて測定誤差が発生する可能性があります。
電圧降下法では、接地極の影響を受けない遠方(接地極から300m~600m)に補助極を設けて、測定時には10A~20A程度の電流を流して測定を行います。

測定対象
・発電所の網状接地極(メッシュ接地)
・構造体接地のような大規模接地極

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測定方法

電圧降下法の測定方法は、発変電規程JEAC 5001-2022(一般社団法人日本電気協会)に記載されています。

図:電圧降下法の測定回路

上図において、電流回路の測定電流をIs、高入力インピーダンス電圧計の読みをVsとすると、接地抵抗値RはVs/Isとなりますが、Vsは電圧回路に生じる誘起電圧と大地浮遊電位が影響しているため、測定電流の極性を正極、負極で測定を行い、下図のベクトル図より、接地極の電位上昇の真値Vs0は下式にて計算を行います。

Vs1:正極性測定時の高入力インピーダンス電圧計の読み[V]
Vs2:不極性測定時の高入力インピーダンス電圧計の読み[V]
V0 :大地浮遊電位[V]

算出した接地極の電位上昇の真値Vs0より、真の接地抵抗値R0は次式より計算します。

測定時の留意点

  • 測定補助極の離隔は、P極は測定対象となる接地極から300m~600m、C極は接地極一辺の4~5倍以上の離隔が必要です。また電流測定線に平行して電圧測定線を敷設すると、電圧回路に電磁誘導の影響が生じるため、接地極―P極方向に対し90度以上開いた方向にC極を設ける必要があります。

  • 電圧測定線を送配電線路と平行に敷設すると電磁誘導の影響を受けるため、送配電線路(鉄道線路、高圧送電線等)とはできる限り平行にならないように考慮する必要があります。

  • 電圧降下法の測定電流は、電圧回路に生じる電磁誘導の影響を受けても誤差が少なくなるようにするため、発変電規程で20A以上が推奨されています。20A以上の測定電流を流すためには、C極の接地抵抗を10Ω以下にする必要があります。ただし測定対象となる接地極が10Ω以上であった場合、C極の接地抵抗が10Ω以下であったとしても、測定電流が20A以上流れないことや測定値がオーバーレンジになってしまう可能性があるため注意が必要です。

  • 作業者の配置例を下図に示します。20A以上の測定電流が流れるため、感電には十分注意が必要です。P極・C極の周囲にはカラーコーンやコーンバー等を使用して人が立ち入らないようにし、測定時は監視員を配置して感電防止に務めます。また、測定線が道路を横断する部分にはケーブル保護マットを敷設し、必要に応じて監視員を配置します。測定者と監視員はトランシーバーを使用して連絡を取り合い、P極・C極の周囲に人がいないことを確認してから測定を開始します。

測定手順

1.接地極一辺の長さの4~5倍離れた位置に補助極C極を施工する。このとき、C極の接地抵抗値は10Ω以下を目指す。
  ※事前準備として、C極施工場所の大地抵抗率測定が必要。

2.接地極から300~600m離れた位置に補助極P極を施工する。このとき、接地極―C極方向に対しP極は90度以上の交差角を取る。

3.測定線を敷設する。電磁誘導の影響を考慮して、電流線(測定器~C極間)と電圧線(測定器~P極間)はなるべく離して敷設する。

4.測定器の配線を行う。

5.測定実施。

6.測定結果より、接地極電位の真値Vs0と真の接地抵抗値R0を計算する。

7.撤収作業

資料ダウンロード

電圧降下法による接地測定 カタログ(PDF)

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